福島の花屋さんで、haseru(by花のセイカエン)さんの入賞作品について、そのコンセプトだったり、出品の際の思い、完成までの製作過程を丁寧に解説頂きました。
通常のコンテストには、毎回テーマが存在します。
今回は 「良い夫婦の日に贈る花束」 というテーマがありました。
一番苦労した点
・どんな花束にするか?
・誰が、どんな夫婦に、どんな思いで贈る花束なのか?
・自分達夫婦がもらうとしたら、どんな花束だったら、感激してしまうか!
・なぜその花屋さんを選んだのか、どうしてそのような花束に仕上がったのか?
そのストーリーを決めるまでが、一番悩んだと教えて頂きました。
結果的には、入賞を狙える作品に仕上げて行くとしても、最初から入賞を狙って作品を仕上げていく訳ではなく、haseruという花屋として、そのギフトが届くまで、手元に届いた後のストーリーを演出できる最大の思いを、花束に込めてみることにしたと言っていました。
審審査をする方は、きっと何となくの仕上がりの美しさだけの審査止まりではなく、その先の背景まで見抜いてくれるはずだという思いもあったとのことです。
一般投票もあったのですが、審査結果を一旦入賞度外視で、自分が花屋だったら、どんな花束をにいい夫婦の日に贈りたいと思うお客様が来てくれたら嬉しいかをイメージして、その背景を最初に考えて、その仮定のシュチュエーションに、haseruとして仕上げたい花束を、結果的に形にまとめ上げたとのことでした。
haseruさんのお店に来店された、いい夫婦の日に贈る花束の背景物語
キャスト
翔太君 お花をプレゼントする今回の主役
一英 翔太君の父さん
幸子 翔太君の母さん
花屋 haseruの店頭スタッフ
ナレーション ストーリーの補足説明
(花屋haseruの店頭のポスター)
11月22日って、いい夫婦の日なんだってね!!
いい夫婦の日には、お花のギフトを・・・・
(翔太君)
いい夫婦の日かぁ 自分の両親って、思えばマジでいい夫婦だよなぁ。俺も社会人になって、これから結婚とかしたら、どんな夫婦になれるんかなぁ。
普段あんまり両親に感謝したこととかってないけれど、やっぱり父さんと母さんの息子でよかったなぁ。
(ナレーション)
花屋の店頭でいい夫婦の日のポスターを見かけた普段寡黙な翔太君は、父の日、母の日とかも特別プレゼントを渡したことがないのですが、なんとなくからも、花屋さんに入ってみるのでした。
(花屋)
いらっしゃいませ
何かお探しのお花は有りましたか?
今日はご自宅用ですか?
ギフト用になりますか?
(翔太君)
・・・・・
(ナレーション)
初めて一人で入った花屋さんで、翔太君は店員の対応に、返答も出来ずに、ちょっと店内を見渡して、その日は帰って行きました。
~3日後~
(ナレーション)
翔太君は、やっぱりお花をプレゼントしてみようと、もう一度同じ花屋さんを訪れていました。
(花屋)
いらっしゃいませ
(ナレーション)
花屋さんは、前回無言で帰った翔太君を覚えていたので、今回は「いらっしゃいませ」の一言以外は、何も声をかけることをしませんでした。
(翔太君)
すみません。
表のポスターみて、いい夫婦の日にお花をプレゼントしたいのですが、どんなお花を選んだらいいですか?
(花屋)
そうですね。母の日にはカーネーションとか、父の日にはひまわりとか、いい夫婦の日には、特別なイメージフラワーが決まっているわけでは有りませんでした。
プレゼントは今日お持ち帰りになりますか?
11月22日の当日になりますか?
いつのお渡しとか、宅配とかは決まっていましたか?
(翔太君)
あのぉ
実際に渡せる日はまだ決まっていないのですが、どんな感じがいいか、ちょっとだけお聞きしたくて
(花屋)
それでは、お客様が再度ご来店される時まで、こちら側でも提案させて頂けるように、イメージを膨らませておきますが、一番はお客様ご自身が気に入ったお花を合わせて、花束にさせて頂けたらと思います。
お花を何にするかもとても大切ですが、出来たらご自身の気持ちをメッセージカードとか、手紙で添えられたら、プレゼントされる花束はそのメッセージの引き立て役になります。
お客様の思いが、どのような形か、ご両親に届けるまでのお手伝いが出来たらと思います。
(翔太君)
なるほどです。
ありがとうございます。
今度いつ来れるかまだ決まっていませんが、また寄ってみます。
ご提案も頂いたので、次来店する時は、メッセージは何かにまとめて持参できたらと思います。
よろしくお願いします。
~2日後 翔太君宅で 食事時~
(翔太君)
父さんと、母さんって、どんな感じで出逢ったの?
(一英)
急に何だよ!!
(幸子)
翔太、急にどうしたの?
(翔太君)
いやさぁ、急に何となく、聞いたことない話しだったからさぁ
ちょっと聞いてみようかと
(ナレーション)
3人一緒の時間には、なんだかこの短い会話で終わってしまいました。
その後、父さんがお風呂に入っている時間に、母さんには色々話しを聞いて
翌日母さんが、ご飯のしたくをしている時に、さらっと父さんから色々聞いて
翔太君は、父さん、母さんそれぞれお互いの気持ちを聞いたのでした。
花屋さんに持参する。花束に添える内容は、両親それぞれの思いを詰め込んだ手紙にしたかったのです。
~5日後 11月21日~
(花屋)
いらっしゃいませ
(翔太君)
今日持って帰りたいのですが、急になっても大丈夫でしたか?
(花屋)
大丈夫でしたよ!!
お花を選んでから作る時間もありますが、お急ぎですか?
お時間大丈夫でしたら、先ずは何かメインに入れたいお花を、選んで頂けたらと思います。
(翔太君)
前回来た時から、気になっていたのですが、このお花(エアープランツ)って花束に大丈夫ですか?
大きいのと、小さいのと二種類あるので、全体を包み込む大きなお花(エアープランツ)が母さんで、ドシっと真ん中に構えるお花(エアープランツ)が父さんでメインにして頂けたらと。
何となくでこんなアバウトな感じですが、大丈夫ですか?
それと、この茶色いお花(チョコレートコスモス)もいいですね!!
そうだなぁ。。。 もう後のお花はお任せします。
あっすみませんが、5000円の予算でお願いしたいのですが、大丈夫ですか?
(花屋)
かしこまりました。
出来上がりまで、お待ちになりますか?
(翔太君)
ちょっと買い物してから、帰りにもう一度よらせて頂きますね!!
(花屋)
メッセージカードはお持ちになりましたか?
(翔太君)
両親の手紙はこんな感じで、書き出して見ました。
父さん(一英)から母さん(幸子)への手紙
母さん(幸子)から父さん(一英)への手紙
僕がちょっとレポートした二人の想いを、代筆する形で二枚書いてきました。
後はお任せします。
夕方18:00過ぎに寄れると思います。
何だか、渡す自分もドキドキ、ソワソワしちゃいますね!!
よろしくお願いします。
(花屋)
お客様の思いが形になる花束に仕上げさせていただきます。
夕方のご来店をお待ちしています。
(ナレーション)
大まかにはこんな感じのやり取りがあって、花屋haseruさんを訪れた20代社会人の翔太君が初めて両親にプレゼントしたいい夫婦の日に贈った花束にまつわる背景です。
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花りん 佐々木的な振り返り
お花は翔太君が選んだお花がメインになっているなら、何でも良かったのだと思えました。
極論、菊の花5本で終わっても、それが結局お花じゃなくても、ギフトは届くまでがひとつのストーリーがあって、届いてからも繋がるストーリーがあって、今回のhaseruさんの花束は、お花は翔太君が選んだお花がメインになっているなら、何でも良かったのだと思えました。
どんな花束に仕上がったとしても、翔太君がレポートして代筆された、両親それぞれの思いと、翔太君がぎこちなくも伝えたい両親への感謝と尊敬の思いが伝われば、お花は何でも良かったのだと思います。
ここまでの、そのストーリーを理解すると、あのグレーに茶色のコスモスの寒色の花束から、暖かい温もりが伝わってきます。見れば見るほど、暖かい気持ちになってしまいます。
不思議なものです。
花屋(haseru)として、今回のギフトに一番大切だったことは、花束に込める想いをどのように形に仕上げるか。
そこに、花束を組む技術だったり、ラッピングだったり、選ばれたお花を使って、どのようにか、最終的にまとめあげるデザイン力だったり、細部にわたる完成度をあげる総合力としての、技術が大切であると再認識させて頂きました。
私自身、お店では普段は花選びだったり、お花をキレイに組み上げることを中心に、繰り返し行っています。
特に花りんで、今回のコンテスト出品に向けては、先ずはキレイな花束に仕上げようが一番になっていました。
結果的に入賞を目指すクオリティに仕上げるとしても、haseruとして出品する花束を、ここまで細部に亘り設定できるというのは、普段からのお店での対応が、そのまま出ているだけなのだとも感じました。
haseruは、想いを馳せるのハセルからきています。
お客様の想いを考えると、最後の細部まで、haseruとして妥協なく仕上げたい、いつものこだわりが、自然とあの作品に繋がったと思います。
今回実際にコンテストに参加した方も、このような機会を初めて知った方も、せっかくの裏話しなので、何かの参考にして頂けたらと、書き出して見ました。